レベッカ・ホルン展


静かな叛乱 鴉と鯨の対話



 ドイツの現代美術家レベッカ・ホルン(1944 - ) の、日本で初めての個展の開催が決定しました。

 羽や角をまとうパフォーマンスで知られるレベッカは、二十歳代での「ドクメンタⅤ」展参加以来、次々と新たな領域に挑戦する精力的な活動を通して、美術のみならず、ダンスや映画の愛好者をはじめ、多くのひとびとを魅了してきました。

 他者とのコミュニケーションの回復や、自然との交感を求める初期のパフォーマンスで着用した知覚の拡張装置はやがて、機械仕掛けで動く立体作品へと展開していきます。その後、滞米生活の中で着手した長編映画では、これら動く彫刻を取り込み、その意味の変容を軸とした映像世界を展開しています。また1980 年代に活動の拠点を母国に移してからは、近現代史と直接向き合い、個人の体験を社会の記憶と結びつける作品は高い評価を得てきました。近年は、作曲家との協働によるインスタレーションや舞台美術、のびやかなドローイングを手がけ、その自由な創造は常に新たな関心をひきつけているのです。

 本展は、パフォーマンスの記録から長編映画まで、映像の代表作全てと、絵画や彫刻の近作をあわせ、それぞれのメディアを関係づけながら展開してきた活動を本格的に紹介するものです。自然や人間の様々なエネルギーの流れを、目に見えるかたちに変換していく、独自の創造の軌跡を堪能するまたとない機会となるでしょう。
記録映像 「ベルリン・エクササイズ」 1974-75
©2009:Rebecca Horn

《ジェイムズ・ジョイスのためのヌーグル・ドーム》 2004
ナイフ、モーター
Photo: Gunter Lepkowski
©2009:Rebecca Horn




展覧会の見どころ



待望された、日本での初個展
早くから国際展で活躍し、パフォーマンスやドキュメンタリーなどを通して、その名は日本でも広く知られているにも拘わらず、実作品を東京で目にする機会は限られていました。今回は、ほぼ全てのジャンルにわたるレベッカの活動を、初めて実見することができます。

初期の貴重なパフォーマンス
美術大学卒業後手がけた彫刻の新素材が原因で隔離療養生活を送った作家にとり、身体機能を拡張し、他者とのコミュニケーションを回復することが、その後の創作活動の、切実で揺らぐことのない主題となりました。布や羽根を用いた知覚の拡張装置を装着した作家や友人たちが、互いに、そして周囲の空間との関係を探りながら展開したパフォーマンスを、貴重な記録映像を通して知ることができます。

静かに動く機械たち
柔らかい羽、双眼鏡、楽器など、五感のはたらきを喚起させるものたちは、まるでそこにひとが介在するかのように、静かに、そして間歇的に動き続けます。繊細な鐘から、スペクタクルなグランドピアノまでいずれも、実にさまざまな感覚と想像力に訴えかけます。

本格的な映像作品を字幕付きで、ゆったりと鑑賞
1970 年代後半の米国滞在中に脚本、監督を務める長編映画に着手した作家は、パフォーマンスや立体などそれまでに手がけた作品を映像の中に散りばめ、文脈による意味の変容を探るようになります。チェリストのミーシャ・マイスキー、俳優のドナルド・サザーランド、ジェラルディン・チャップリンなど、豪華な役者が登場する映画はいずれも1時間以上の大作ばかり。美術館で一日映画を堪能できます。

詩人にして美術家による新たなインスタレーション
レベッカは詩人としても活動し、近年は詩集も出版しています。その詩をフィーチャーし、友人のチザムの音楽が流れるインスタレーションでは、空間を変容させる最近の創造を体感できます。

最新のペインティングを紹介
立体作家のイメージの強いレベッカですが、近年は大型のペインティングを手がけています。器具を伴わず、身体の動きをそのまま伝える、伸びやかで、明るいペインティングは、ジャンルなど軽々と飛び越え、自由に展開する創作の息吹を伝えます。

映画 「バスターの寝室」 1990
©2009:Rebecca Horn

《双子の烏》1997
烏の羽、モーター
Photo: Photo: Attilio Maranzano
©2009:Rebecca Horn




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■ 展覧会概要



会場 東京都現代美術館 企画展示室 3F,1F
会期 2009 年10 月31 日(土)~ 2010 年2 月14 日(日)
※休館日:毎週月曜日(但し11月23日、1月11日は開館)、11月24日、12月28日~ 1月1日、1月12日
入場料 一般:1200円(960円)、65歳以上:800円(640円)、学生:900円(720円)
中高生:600円(480円)、小学生以下無料
*( )内は20名様以上の団体料金
問い合わせ先 東京都現代美術館
電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)  03-5245-4111( 代表)